駐在員〜You’re my expats?〜

海外出張と海外駐在の大きな違いをご存知でしょうか。

「外国での滞在期間」と思われる方も多いかもしれませんが、少し異なります。

最も重要な点は、1)当該国にて就労資格を要しているか、2)人件費の負担元が現地の子会社かどうかがポイントとなります。

▶️まず、日本人が海外に出る際に、査証無しでも問題がないかどうかのチェックが必要となります。

欧州であれば査証なしで入国が可能ですので、観光客=出張者としてシェンゲン協定ルールに基づき滞在が可能となります。

🟥シェンゲン協定ルール:シェンゲン協定国において、過去180日から数えて最高90日間の滞在が可能

上記を上手く利用すれば、チェコも含め出張ベースで現地での業務が可能となります。

▶️雇用者は当然日本側、人件費の負担も同じく。

【ここまでは出張者。営業担当の方であれば出張ベースで欧州案件が対応できるようなケースも多いように思えます。(必ずしもとは限りません。)】

🟥駐在は、出張ベースでは業務が成り立たない場合に「(例)日本から海外子会社へ派遣する」ことを意味します。

そして、現地での就労資格を必要とします。

派遣期間は3年〜5年が最も多いように見えますが、1年で帰任、または7年に延長といったケースもあります。

余談ですが、日本に戻りたくなくなり駐在員から現地採用に切り替えた方にも数名ですがお会いしました。

▶️雇用者は日本、しかし受入先は「経済的雇用者」と見做されるため、現地での給与支給および社会保障税(税金・保険料)の納付が必要となります。

🟥税務面においては、グローバルで183日ルールというものが存在します。一年丸々チェコで就労した年には、日本で支給されている給与やその他の収入も含め、チェコで全世界所得の申告が必要となります。

チェコと日本が、租税条約(二重課税防止)や社会保障協定を締結していることは、日本の雇用者にとってありがたいことです。

社保協定が締結されていない時代も経験しましたが、日本とチェコにおいて二重で健康保険料・社会保険料を納めていた頃の駐在員の人件費は、会社にとって過度な負担となっていました。

(それだけの投資が成功だったかどうかは、存続している会社の決算書を確認すれば答えが出ます。)

▶️雇用者は日本側、しかし人件費の負担は海外子会社。

🟥チェコにおいては、一般的にIHOL※1契約が締結され人件費や諸費用の負担元が明文化されていますが、移転価格※2の観点からも「親会社に大幅に有利な契約になっていないかどうか」は要注意が必要です。

IHOL※1=International Hiring out of Labour 

一般的に、「イーホール(適切な訳が存在しないため意訳:海外役務提供契約)」と呼ばれる契約ですが、内容の骨子を適切に理解されている方は少ないように思えます。

移転価格※2→過去にも投稿にて第一部のみご紹介いたしました。続きは徐々にブログにて!

▶️上記のように、チェコに派遣される駐在員の定義と義務について解説するだけでも・・・私はまだまだ「食いっぱぐれません」🤗

🟥ヨーロッパの外国人就労スキームはOECDの規定に基づくため、その他の国の仕組みについても大部分を応用することができます。

これに加え、滞在資格の管理、駐在員の管理、現地従業員の管理・・・といったコンサル業務にニーズがあるのはなぜでしょうか?

ーつづくー